保険の営業担当用名刺など、顔写真を入れている名刺を目にする機会もあるかと思います。
名刺を通して顔を見ることで、なんとなく親しみを覚える効果もある顔写真入り名刺ですが、そこにデメリットは無いのでしょうか。
そこで今回は、顔写真入り名刺のデメリットを確認した上で、メリットや作成時の注意点について徹底的に解説します。
顔写真入り名刺を作ろうと考える企業担当者は、ぜひ詳細を確認しておいてください。
印象に残る顔写真入り名刺ですが、そのデメリットを理解して使わない限り、効果を最大限発揮することはできません。
まずは、デメリットを理解するところから始めましょう。
名刺とは企業を代表して、個人が個人へわたすものです。
しかし、その性質上、名刺はそれ単体が独立して第三者の手へわたる可能性があることも想定しておかなければなりません。
名刺に書かれたメールアドレスなどは企業が作ったものかもしれませんが、顔写真だけは紛れもなく重要な個人情報です。
特にフリーランスなど個人事業主が、個人宅の住所などと合わせて顔写真を載せる名刺の場合は、慎重に取り扱ってください。
顔写真入りの名刺は多くの場合、個人を売り込む宣伝ツールとして利用されます。
そのため、顔写真そのものの写りが悪いと、好印象を残すどころか逆効果にすらなりかねません。
また、営業担当なら笑顔、クリエイターならクールな表情など、職種やブランドに合わせた写真を使うことも大切なポイントです。
名刺という限られたスペースに顔写真を入れるということは、記載すべき情報量が多くなるということです。
狭いスペースにあまり多くの情報量を詰め込みすぎると、デザインがごちゃごちゃしてしまい、かえって印象が悪くなる場合もあります。
そのため顔写真を名刺に載せる場合には、情報の整理が必要です。
同時に、顔写真をどこまで目立たせるかでデザインの方向性がある程度決まってしまうため、デザインの幅が狭まってしまうことも否めません。
このようなデメリットがある顔写真入り名刺ですが、それでも利用する企業があるということは、やはりそれだけのメリットがあるからに他なりません。
ここでは、そんな顔写真入り名刺のメリットについて考えてみます。
初対面の相手に渡す名刺にとって、ファーストインプレッションでインパクトを残せるというのは重要なポイントです。
評定のある顔写真が印刷された名刺は、渡した相手へのファーストインプレッションを決定づける、重要なアイキャッチ効果を持っています。
企業という看板はもとより、個人のパーソナリティで勝負することの多い職種では、まず何よりも自身の顔を覚えてもらうのが第一関門です。
そのためには、後々まで顔を覚えていてもらえる、またことあるたびに思い返してもらえる顔写真入り名刺は、それだけで有利な効果をもたらします。
人は、興味・関心のないものでも、頻繁に目にしたり接する機会が増えると、だんだんと好印象を持ち始めるといった現象がおきます。
これは、心理学的にいうと「ザイオンス効果」といい、近年のビジネスシーンでもマーケティングに有効な戦略としても用いられる概念です。
写真で繰り返し顔を見てもらうことで、対象の人物に対して好感度と親近感が増すという効果は、顔写真入り名刺を作る最大のメリットといってもよいでしょう。
多くの場合、ビジネスに有利な効果をもたらす顔写真入り名刺ですが、作成のポイントはどんなところにあるのでしょう。
ここでは、代表的な5つのポイントについて解説します。
先に述べたように、名刺に顔写真を印刷して繰り返し顔を見てもらうということは、心理学的「ザイオンス効果」によっても、有効な戦略となり得ます。
しかし、これは逆に考えると、マイナス印象を先に与えてしまうと、それがずっと繰り返される「マイナスのザイオンス効果」につながってしまうということです。
こうしたザイオンス効果の真の効用を抑えた上で、写真の選定はもちろん、初めて会う相手への立ち振舞や表情にも、より一層注意してください。
ザイオンス効果的にも、また単純に個人のブランドイメージのためにも、使用する写真はクオリティの高いものにするべきです。
安易にスマートフォンの自撮り写真などは使わず、プロに任せて写真を撮るのがベストですが、そのような機会を作れない場合でも、せめて表情や無背景などにはこだわって撮影を行うようにしましょう。
顔写真入り名刺でビジネスの成功を得るなら、現代マーケティングではSNSと掛け合わせない手はありません。
名刺に印刷する写真とSNSのアイコンに同じ写真を利用し、よりザイオンス効果を高めることができます。
それだけでなく、軽いあいさつと名刺だけでは伝えきれない個人の人となりといったものを、SNS発信と組み合わせることで雄弁に伝えることができます。
フリーランスなど個人事業主が、自分のためだけに顔写真入り名刺を作成する場合であれば問題ありませんが、企業で一括して作成する場合には十分な配慮が必要です。
例え自分が使用する名刺であっても、顔写真を掲載したくないと考える社員がいてもおかしくはなく、そうした社員に「顔出し名刺」の作成を強要するのは、個人情報保護の観点から考えても好ましくありません。
顔写真入り名刺は企業と個人、双方同意の上で作成することが好ましく、どうしても社員の理解が得られない場合は、似顔絵を使うなどの代替案を採用することをおすすめします。
顔写真入り名刺のメリット・デメリット、そして作成の際の注意点について解説してまいりました。
顔写真入り名刺は、初対面の相手へ印象に残りやすく、その後もしっかりと顔を覚えていてもらう可能性も高い、戦略的にも価値あるマーケティングツールです。
しかし、使用方法を誤ると、かえって逆効果があることは否めません。
本記事で解説した内容なども含め、その功罪や注意点をよく理解した上で、ぜひとも御社の戦略的マーケティング施策に組み込んでみてください。